出張管理は難しい?企業の前に立ちはだかる大きな壁とは
出張管理の重要性
間接費改革に取り組まれている企業の皆様、「出張費」の見直しはお済みですか?
出張費の適正管理は、間接費改革の中でも最優先事項としてあげられています。
なぜなら出張費は、戦略的に管理することで短期間で大きいコスト削減効果が実現できるからです。
大手企業はもちろん、中小企業も世界を舞台にした活動があたりまえになってきている昨今、
航空券代は年々値上がり傾向にある、という状況については以前の特集コラムにてお伝えした通りです。
(参照:年々年々値上がりする海外航空券代に抗う)
海外出張の多い日系企業では(もちろん規模や業種にもよりますが)、海外航空券だけでおよそ年間1億円~10億円の費用が発生しています。
グローバルな競争環境において利益を生み続けるため、継続的な「生産性の向上」と「出張コスト削減」が企業経営課題となっているのがおわかりいただけるかと思います。
また、オンライン化や、旅行会社以外の業界参入により旅行手配方法も多様化しています。
自分たちの手元にある端末で、出張手配を自由に、簡単に済ませることができる時代です。
非常に便利ではありますが、管理も難しくなるのもまた事実です。
企業は常に業界の最新情報を入手し、出張管理基盤を強化することで、社員の安全を守るとともに、不正防止やガバナンス強化を図らなければなりません。
出張管理改革の足を鈍らせる要因はなにか?
さて、間接費改革を積極的に行っている日系企業数社の出張傾向を弊社で分析したところ、
出張が増加傾向にあるかというと、必ずしもそうではなく、むしろ出張費は減少しているという企業も存在しました。
これは自社の出張現状を把握することで、適正な価格を把握し、適正なフローで出張を管理・運用しているからであり、
企業として積極的に出張改革の取り組んできたということの表れです。
このような結果に結びつけられたのは、おそらく全社一丸となって出張管理に向き合ってきたからでしょう。
ではすべての企業がこのように改革をすすめられるかというと、一概にそうとも言えず、
むしろ多くの企業のご担当者様からは
「出張管理の必要性は感じているのになかなか手をつけられない」という声を多く耳にします。
出張管理改革の足を鈍らせる要因とは何でしょう?
その理由は、特に日本企業特有の管理状況に隠されていました。
要因1: 予測・コントロールが難しい
出張費というのは、経営方針や新事業計画等(=内的要因)によって大きく変動します。
会社の合併や提携、海外支店・工場等の増設、海外への販路拡大等の計画によって、出張数も大きく増減するでしょう。
また、世界情勢、原油価格、業界動向等(=外的要因)からも、もちろん大きく影響を受けます。
たとえ昨年と同様の出張内容・出張件数であっても、外的要因の影響で1件当たりの出張単価が大きく変わってしまいます。
安易に「昨年度より利用金額か増えた(又は減った)」と利用額を比較するだけでは、本当の意味でのコス検証はできないということです。
この外的・内的要因に阻まれ、データ不足や業界動向の知識不足により出張費の予測や予算のコントロールに手をつけづらいところが、出張管理の足を鈍らせる1つ目の壁です。
要因2: 管理体制の変更が難しい
どんな改革でもそうですが、新しい事をはじめるには組織全体の慣習や体制の見直しが必要です。
出張に関係する管理業務は多岐にわたっており、担当が多部門にまたがっていることがほとんどです。
一例をあげると、
コスト管理・ガバナンス管理・・・経営
出張規程管理・リスク管理・・・総務・人事
航空会社・ホテル等の契約交渉・・・調達・購買
出張費精算・・・財務
など、出張が1件発生するごとに多くの担当者が、それぞれのルールに従って動いています。
何か一つにメスをいれると、それに付随する業務にも影響が出てくるのは必至です。
長年の慣習により見直されずに引き継いでいる「ブラックボックス化」した業務の存在、
部門間や拠点間独自の暗黙ルール、
既に適正な管理を行っているのでこれ以上は改善できない、という思い込み、
この業務は絶対に必要だ、という固定観念・・・。
これらの管理体制の現状と無意識での思い込みが、出張管理改革をスムーズに進められなくなる2つ目の理由です。
先を見据えた第一歩を踏み出しませんか?
いかがでしょうか。このような壁にぶつかったご経験がある方も多いのではないかと思います。
しかし難しいからといって尻込みしたり躊躇しているわけにはいきません、
なぜなら先に述べたように、出張管理は企業にとって重要な課題であることは確かだからです。
しかも実際に、この壁を乗り越えて管理改革に成功している企業もあるのです。
ではどのようにしたら達成できるか。
まずはしっかりとした現状の認識・そして問題の把握から始めましょう。
「だからそこが難しいんだ!」という声が聞こえてきそうですが、自分たちでは気づくことができない改革のポイントを発見するためには、フラットな目で状況が確認できる第三の目、第三者の介入が必要です。
できるだけ新しく公平・公正な目で現状を見直さなければなりません。
また、自社の社員が本来行うべきコア業務の質とスピードを落とさないようにするために、専任の担当者やプロジェクトの配置といった知識を持った人材も新たに必要になるはずです。
自社内で行おうと思うと、また同じ壁にぶつかって頓挫してしまいかねません。
こうしている間にも、出張は日々発生し、社員の皆さんは日本各地、世界各地で活躍されてます。
そして日々の煩雑な管理業務に追われて残業をしいられている社員の皆さんも数多くいる・・・かもしれません。
出張管理改革に向かっての第一歩を踏み出すために、ぜひ早めの現状確認、早めの決断をお勧めいたします。
トラベルコンサルティング事業部
サポートエグゼクティブ 兼 マーケティング担当
樋下田 智美