レベニューマネジメント進化は日本企業の出張慣習に打撃をもたらす

レベニューマネジメントはすさまじい勢いで進化する

レベニューマネジメントとは何か、基本的な概念の説明は多くの外部記事で紹介されておりますので、ここでは割愛させて頂きます。

レベニューマネジメントが出張に関係する大きなところは航空券とホテルです。
元々これらの業界ではレベニューマネジメントが早くから取り入れられ、日頃から接している出張者、管理者の方も多いのではないでしょうか。

同じ場所同じ期間宿泊しているのに、この前と宿泊代が異なる、これはレベニューマネジメントによって価格が変動されているからです。
供給側である航空会社もホテル会社も時期によって適切な価格を設け、なるべく在庫を抱えることなく収益最大化を図りたいのは当然の考えとなります。

そしてこのレベニューマネジメントは進化し続けています。

周辺地域を熟知した旅館やホテル支配人が地域の需要変動を予測して価格を変える、この”ひと”がおこなう手法もレベニューマネジメントの一種ですが、ITの発達によってレベニューマネジメントは強力にコントロールされ、今後ますます進化をし続けることでしょう。

レベニューマネジメント進化は出張者に多大な影響がある

レベニューマネジメント進化は日本企業の出張に多大な影響があります。

ここで、出張の発生から航空券・宿泊手配、出張開始の流れを見ていきます。
出張の必要が生じ、出張者は航空券・宿泊などの出張手配を開始します。
スケジュールに見合った航空券・宿泊を手配し、発券期限が来たら航空券を発券(購入)、その後出発となります。

ここで問いたいのは、「発券期限が来たら航空券を発券(購入)」というところです。

「予約」→「即発券」とせずに、キープする時間を持つ。
…これは本当に多くの日本企業の現状ではないでしょうか。

プライベート旅行であればもう行くことが決まっているのだから即発券でも問題ありませんが、出張となるとそうもいかない事も多くあるはずです。

しかし、ここで思い出して頂きたいのは前項で述べた通り
「供給側はなるべく在庫を抱えることなく収益最大化を図りたい」
ということです。

供給側からしたら発券(購入)されないと在庫解消にはなりません。予約だけされている状態だとその在庫が本当にその飛行機に乗りたい人に行き渡らないリスクもあります。

だからこそ現在でも、「急に発券期限が早まった」などという経験がある方も多くいらっしゃるかと思います。
今は旅行会社の担当者やオンラインブッキングツール上で発券期限を管理することでなんとか機会損失を防いでいるというところですが、レベニューマネジメントがますます進化した場合、そしてそれが”ひと”ではなく、”システム上”でより強固にドラスティックに管理が進んだ場合、予約から発券までのリードタイムが発生することは許容されなくなるかもしれません。

レベニューマネジメントへの対応は企業が真剣に取り組むべき領域です

レベニューマネジメントの考え方の基本には顧客セグメントの考え方があります。

例えば、
・高価でも買ってくれるセグメント
・通常価格で買ってくれるセグメント
・安くないと買わないセグメント
といった例です。

プライベート旅行であれば、ここに行きたいと思って調べた結果、ものすごく高価だったら「やっぱりやめよう」とか「日取りを変えよう」と考えます。
つまり、プライベート旅行客の多くは通常価格あるいは安くないと買わないセグメントです。

でも、出張の場合はそうはいきません。
すでに向け先に行く用事があるのですから、多くは高価でも買ってくれるセグメントに位置付けられます。
レベニューマネジメントの影響が大きいのは企業の出張なのです。

例えばオンラインブッキングツール上で、今すぐに予約即発券すれば10万円、(右上あたりの画面にカウントダウン表示)、それを過ぎたら15万円、のように、予約から発券までのリードタイムを持たせることによる機会損失が手に取るようにわかる日が早晩来るかもしれません。

本当に近い未来、「出張の仕方」がうまい企業はレベニューマネジメントによって形作られた強固でドラスティックなマーケットをうまくドライブできることでしょう。
一方、そうでない企業は機会損失が拡がらないように、今から取り組んでいく事をおすすめ致します。

 


トラベルコンサルティング事業部
シニアコンサルタント 兼 セールスマネージャー
西ヶ花 竜希